小説 | 月に日に

      
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あまたの星に
「あの、ご主人様、これ、出来上がりました」
わたしはおずおずと合成した武器を差し出す。結果はもう目にみえていた。
ご主人様の瞳に落胆の影が映って
ふうっと深くため息をつく。そして苦笑い。
「あぁ、ミジンミサキは属性補正14%、シンツキザシは12%、アンク・トマホにいたってはモノメイトかあー、トホホ」
困った顔をして、わたしの巻き毛の頭をくしゃくしゃと撫でる。
…あぁ、怒られるかな、って思ってビクビクしていたけれど、今日はモノメイト投げつけられなかった。
あぁ…よかった。

「あのね、ギザハザシは、お願いね。今なら絶対作れるけれど、いいのが欲しいのよ」
「はいっ、尽力を尽くします」
わたしはきりっと唇をかんで意気込んでみせる。
それが運に支配されて、わたしの力の及ばないところであるのは承知なのだけれど。
でも、それでも、そう返事するしかなかった。
「そのギザハザシが出来たらね、甘夏、あなたはわたしと一緒にHIVEを回るのよ?」
「えっ」
わたしはゴクリと喉を鳴らした。もちろん、電子の体であるわたしに咀嚼機能などないが。
でも、ご主人様が何かを決意したことは伝わった。
その夢にわたしも加われるなんて、こんなに嬉しいことはなかった。
パートナーマシナリーとして生まれて、ご主人様と一緒にミッションを受けられることこそが、わたし達にとっての最高の栄誉だからだ。
…武者震いがする。
明日は最高のソードを持っていこう。
「はいっ、ご主人様!」
「じゃあ、明日、楽しみにしているわよ、ギザハザシ、頼んだわ」
そう言い残すと、ご主人様は照明を消して"ログアウト"した。


この部屋に本当の静寂が戻った。
わたしは窓から宇宙(そら)を見上げる。

…ああ
このコロニーからいくつの灯りが消えたのだろう。
主人の戻らない、灯りのともらない、幾千、幾万の部屋。
そこに眠る、何千、何万ものわたしの姉妹、我らが同胞。
わたしは動かぬ彼女らに想いを馳せながら、スリープモードに入ることにした。
「ギザハザシ、いいのができますように」
虚空に浮かぶあまたの星に祈りながら、わたしは目を瞑った。

おしまい
| 小鳥 | 15:54 | comments(4) | trackbacks(0) |
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Material: COZY×COCORE
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